いものはなし 02
おはようごさいます、いももちです。
すごい!前回更新から両手じゃ足りない数の日にちが経ちました。
三日坊主どころじゃない…
記事をおやすみなさいで締めてるのでしゃれにならんです。これではいつか永眠してしまう。
ああでも、冬場に更新サボって「冬眠です!」って言い訳できるんですね。たぶん確実に、すると思います。予言します。
では、こう、一応続き物記事にしてしまいましたので、前回に引き続きいもの話をしようと思います。
前回、いもとの出会い…いわゆるガール・ミーツ・ポテトを果たしたわたしですが、「芋、ラブ!」状態からちょっとした芋鬱状態になってしまいました。
今回はそのあたりを。お話しさせて。いただければと。
(自分で言っといてなんだけど芋鬱っていったいなんなんだろうな。)
世界は芋でできている
でんぷんってすごいよな。いやほんと。
ちょっと話は変わるんですけど、思い浮かべてみてほしいんですよ。
定食屋とかで、酢豚、頼んでるとこ。
注文して、ちょっと経って、店員のオッサンがアツアツの皿を持ってきてくださるわけです。テーブルに置かれた皿からはほっかほっか湯気が立ち、そりゃもう美味しそうな、食欲をそそりまくる甘酢の最高にいい香りが漂ってくるんです。
で、その中身です。とろ~っと、絶妙なとろみの甘酢をまとったおにく。野菜。店の明かりに照らされて、「さあ!お食べなさい!」とこちらに訴えてくる、あのつやつやの光沢。その光沢に目を奪われながら、ひとくちいただくんですよ。口に入れた瞬間広がる香り、すっぱさ、あまさ、しょっぱさ、うまみ。豚肉の食感に心ふるわせつつ、続いて炊き立ての白飯をかっこむ。ああなんて、なんて幸せなひとときなんでしょう!
…と、ね、おいしい酢豚の描写をいたしました。けれども、ここまで本題であるはずのいもの登場ゼロです。ちょっとも出てきておりません。
でも確かに、いもの出番はあったんですよ。
ほら…ほら、口に入れる前のことです。
わたしを誘う、甘酢あんのとろみ。あの、光沢。
これ全部、水溶き片栗粉さまのおかげなわけです。
本来片栗粉って、「カタクリ」の鱗茎からとったデンプンを使用するそうなんですよ。しかし近年では、市販の片栗粉はほぼほぼジャガイモ由来のデンプンで作られているのだとか。カタクリから精製されたものって、ほとんどないんですって。
よってあの酢豚のすばらしいとろみはジャガイモの、でんぷんの、ちから。
えっおいも様すごくない?す、すごくない?
片栗粉ってあんかけだけじゃなくて、お料理で「つなぎ」として使用することも多いんですよね。肉団子こねたりとかさ。
ちょこっとずついろんな料理のレシピに登場するものだから、「えっ!?それにも使ってたの!?」ってぐあいに、知らず知らずのうちに口に運んでいたりもするわけです。
すごい。すごいよ片栗粉。ひいては、それを生み出してるおいもさま。
もうこれじゃいもに支配されているといっても過言じゃないよ。
世界は芋でできているんだよ。
でんぷんってすごい。
この文章を読んで若干引いた方もいらっしゃるかもしれません。実際自分でも「うわ」って思いました。「うわ」って。
誇張表現にもほどがありますし。なんか宗教じみた発想に至っているし。おいもさまって何、この子怖い。
でも、当時のわたしの世界は本当に芋でできていたんですよね。冗談抜きで。
盲目ってまさにあんなかんじの状態のことをいうのだと思いました。
第一次ポテトショック
ここ、テストに出るよ。
盲目的においも様を敬愛し信仰するおいも様信者に成り果てたわたし。
もしもプロポーズされるのなら、王子様が渡してくれる花束はぜひともジャガイモの花の真っ白な花束でオナシャスと思っていたわたし。
しかしそんな夢に溺れるわたしを、ショッキングな出来事が襲うのです。
それでは、まずは悲劇の背景からご説明いたしましょう。
わたしこといももちには、おじいちゃんとおばあちゃんがおります。わたしの居住地も十分いなかですが、さらにいなかに住んでいる祖父母です。
いなかですから、安く広大な土地があります。あっちこっちに、家庭菜園というには大きすぎる畑を所有しているお宅がたくさんあるのです。ご多分に漏れず、我が愛しの祖父母も家の裏にそれなりの大きさの畑を持っています。
で、お察しの良い皆様ならもうお分かりかと思うのですが、この祖父母の畑でね、こう…作られていたわけですよ。
おいもが。
この祖父母の愛にあふれたジャガイモを、ずっと、ず~~~~っと、物心つく前くらいから食べ続けていたわたし。
好きにならないわけ、なかった。
だっておいしいんだもん。
そう、それでね、このジャガイモを、祖父母は毎年送ってくれるんです。四人家族で食べてもたっぷり一年ぶんくらいのおいも、ダンボールで届くんです。
そんな背景もありまして、いももち家では市販のジャガイモを買ったことがありませんでした。自宅で食べる料理に、知らないいもは入っていなかったんです。
恵まれてるよなぁ。
そんな恵まれたおいも生活を送っていたある日、その悲劇は起きたのです…
冷夏、とか。
豪雨、とか。
そういう、自然的な要因で、です。
おてんとさまに踊らされて、畑も、見るも無残なことになってしまいました。
おいもはね、無事とれました。とれたんですよ。ええ。
でも、こう…………数が……………
悲しい出来事でした。
夜遅く、部活を終えて学校から帰ってきて、家に入る前からカレーのにおいを察知していたわたし。
着替えを済ませてテーブルにつき、わくわくしながらその登場を待つわたし。
母が運んでくれたできたてのカレーを一口、真っ先においもから口に運ぶわたし。
…味がしない。
…えっ、食べたよね?
これ、間違いなくわたしの大好きなおいもさまだよね???????
そりゃもうびっくりして二度見しました。スプーンに乗っかっているのは、間違いなくジャガイモです。
おそるおそる、もう一度口に運びました。
…やっぱり…味がしない…!
「お…おかあ……おかあさん………?」
「やっぱり…気づいちゃったよね…」
えっ何?
やっぱりって何!?
気づいちゃったって何!?
「今年…不作で…おいも…全然とれなかったらしくて…もうなくなっちゃって…」
「えっ」
「だからこれ…スーパーで買ってきたやつ…カレーならばれないかな~って思ったんだけど」
う、う、嘘ですやろ~~~~~~~!!?!?!
この時、初めて自宅で知らない芋を食べたんです、わたし。
衝撃たるや、たるや。
決してそのいもをdisりたいわけではないんです。批判の意図はないんです。
でもね、やっぱり違うんですよ。こんなに味のないいも、世の中に存在するんだ…!って、本気でショックを受けたんです。
全世界の芋を愛してるつもりでいた。
でもだめ、わたし、このいもは愛せない。
悔しい…!
これがそう、第一次ポテトショック。
芋が尽きた、そして味のない芋が我が家に流入してきた…
わたしの世界を覆す、大きな事件でした。
わたしの芋鬱期の…幕開けでした…
実はの、もうちっとだけ続くんじゃ。
おやすみなさい…